雑記

ある朝窓を開けると、金木犀の匂いがして、ほんとうに秋が来たのだと思った。

秋から冬に向かって、ある種の文学は充実してゆく。

夜がとぷりと深く長く。見えないものに感覚が研がれる。

真っ暗く、凛と透きとおった天。何かの鉱物に似ている。


季節を、大気を、気候を書くことに惹かれる。

ともすれば風土。ひとつの限界を与えるもの。

普遍への意志を好む。

けれど地球は一様ではなかった。人の条件もまた一様ではなく。

針のような三日月が沈む。

月面は一様だろうか。







一切の
不安らしき不安は去り
そこはかとなく残るもの
たちのぼるあかるくかすかな白い火
何ものか
言葉をあたえることはできず

それ自体が言葉のような
あかるく
あかるく